「注文住宅を建てる時って、ベタ基礎と布基礎どちらが良いの??」
家を建てる時に最も重要なのが「基礎」です。基礎は家の安全性や快適さを左右する基盤。
どんな基礎にすべきか、悩まれている方も多いでしょう。
基礎はやり直しの利かない部分ですから、事前にしっかり知識を身に着けておきたいところ。
構造・仕組み・メリットやデメリットを把握しておかないと、建てた後で後悔してしまいます。
特に、基礎として代表的な「ベタ基礎」と「布基礎」はそれぞれに異なる特徴やメリット・デメリットがあり、判断するのが非常に難しいです。
「建築の知識もないし、難しくて調べるのも面倒…」
という方に向けて、この記事ではベタ基礎・布基礎の特徴をどこよりも分かりやすく解説します。
選ぶポイントも具体的に紹介するので、土地や予算に合った基礎を選びやすくなること間違いなしです。
この記事を読めば、基礎を選ぶ基準やコツが分かり、安心して注文住宅が作れるようになります。
家や土地に合った基礎を選べば、今後の生活がグッと快適になりますので、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
Contents
ベタ基礎とは
ベタ基礎は耐震性や湿気対策などで人気のある基礎です。
ベタ基礎とはどういった基礎か、初心者の方でも分かりやすいように、具体例を交えて解説しますので、参考にしてください。
ベタ基礎の構造と仕組み
ベタ基礎は鉄筋コンクリートで底面全体を覆うタイプの基礎です。
ベタ基礎では、床下全体をコンクリートで覆い、鉄筋を組み込むことで高い強度を保つことができます。
床全体で建物を支えるので、建物の重さを分散させ、住宅を安定させやすいのが魅力です。
例えば、地盤が軟弱な土地ではベタ基礎の魅力が光りやすいです。
ベタ基礎は地盤の沈下を抑える効果もあり、建物全体を安定させ、部分的な沈下である「不同沈下」を防ぎやすくなります。
建物全体の安定性と強度を高めたい場合には、ベタ基礎が適していると言えるでしょう。
ベタ基礎のメリット
ベタ基礎には次のようなメリットがあります。
耐震性の高さ
先述した通り、ベタ基礎は耐震性が非常に高いです。
地震の揺れを建物全体で受け止め、効率よく地面に逃がす構造となっているため、地震による被害を最小限に抑えることができます。
例えば、東日本大震災の際には、ベタ基礎を採用していた住宅の多くが倒壊を免れたという報告があります。
建物全体で揺れを分散するため、大きな地震にも耐えられる設計になっているのです。
耐震性を重視するのであれば、ベタ基礎を選べば間違いないでしょう。
床下の湿気対策
ベタ基礎は床下の湿気対策にも有効です。
ベタ基礎は床下全体をコンクリートで覆うため、地面からの湿気が建物に上がりにくくなります。
これにより、木造住宅に使われる木材の腐食やカビの発生を防ぐことができます。
梅雨時期や湿気の多い地域では、ベタ基礎にすることで床下の湿度を抑え、乾燥した状態を保ちやすくなります。
建材の腐食を防げるため、住宅の耐久性を高める効果が期待できるでしょう。
床下の湿気対策を考えるなら、ベタ基礎一択と言っても過言ではありません。
シロアリ対策
ベタ基礎はシロアリ対策にも効果的です。
ベタ基礎はコンクリートで床下を完全に覆うため、シロアリが地面から建物に侵入する経路を遮断できます。
これにより、シロアリ被害を防ぐことができるのです。
シロアリが柱や桁をボロボロにすると、建物の耐久性は大きく下がってしまいます。
そうならないためにも、シロアリ被害が多い地域では、ベタ基礎を採用したいところです。
シロアリの被害は人命にも影響を与える場合があるので、シロアリが多い地域の方はベタ基礎を検討しましょう。
デメリット
ベタ基礎のデメリットは次の通りです。
建築コストがかかる
ベタ基礎は建築コストが高いです。
大量のコンクリートと鉄筋を使用するため、材料費や施工費が高くなります。
また、施工に時間と労力がかかるため、コストの増加に繋がります。
ベタ基礎の施工は、布基礎に比べ1.3〜1.5倍の費用がかかるのが一般的です。
布基礎が100万円だった場合、ベタ基礎だと150万円かかる計算です。
予算に余裕がある場合は問題ありませんが、コストを重視する場合には慎重な検討が必要になるでしょう。
工期の長さ
ベタ基礎は工期が長くなります。
コンクリートの乾燥や鉄筋の配置など、細かい工程が多いためです。
そのため、施工時期や完成させたい期日によっては、ベタ基礎にできない場合もあります。
布基礎と比べると、ベタ基礎の工事には数週間の追加工期が必要になることがあります。
天候によっては、コンクリートを完全に硬化させるのにかなりの日数を要するからです。
急ぎの工事や早期の引っ越しを希望する場合には、工期の長さを考慮する必要があるでしょう。
布基礎とは
布基礎とは、主要な壁の下に沿って部分的に鉄筋コンクリートを配置する工法です。
以下では、布基礎の構造などを初めての方も分かるように詳しく解説します。
布基礎の構造と仕組み
布基礎は、建物の外周と内部の主要な壁の下に沿ってコンクリートを配置する基礎工法です。
布基礎では、コンクリートが線状に配置され、その上で建物を支える構造になっています。
基礎の底にはフーチングと呼ばれる広がり部分があり、これが地面との接地面積を増やし、建物の安定感を高めつつ、地盤への負担を分散させているのです。
布基礎は住宅の外壁の下だけでなく、間仕切り壁の下にも設置されます。
垂直に重量がかかる部分に基礎を配置することで、建物全体の荷重を効率的に支えることができます。
ベタ基礎に比べて施工面積を減らすことで、効率的な建築を可能にした工法と言えるでしょう。
メリット
布基礎のメリットは次のとおりです。
建築コストが低い
布基礎はベタ基礎に比べて施工の費用を抑えることが出来ます。
布基礎は使用するコンクリートや鉄筋の量が少なく、施工も比較的簡単なため、材料費や人件費を抑えることができるからです。
ベタ基礎のデメリットでも述べたとおり、ベタ基礎の施工費用は布基礎のおよそ1.3〜1.5倍。布基礎で費用が浮けば、他の箇所に工事費を回すことができます
予算に制約がある場合、布基礎を活用することで費用を抑えやすくなるでしょう。
工期が短くて済む
布基礎で施工すると、工期を短くすることができます。
布基礎はベタ基礎に比べて施工工程が少ないうえに、使用するコンクリートの量も少ないため、乾燥させる時間が短く済むからです。
一般的に、布基礎の施工は通常数日で終わることが多いようです。一方、ベタ基礎では乾燥に数週間かかることもあるので、工事が終わるまでに数週間~数カ月の差が出ることもあります。
どうしても工期を短くしたい、という方は、地盤が安定していることを十分に確かめた上で、布基礎での施工を行うと良いでしょう。
住宅の設計や土地に応じて柔軟な配置ができる
布基礎は住宅の設計や土地に応じて、柔軟な配置が可能です。
布基礎の施工では、鉄筋コンクリートを任意の場所に設置可能できるため、特殊な構造の住宅や地形・地盤に合わせた対応がしやすくなります。
ベタ基礎の施工が難しい傾斜がある土地でも、布基礎であれば高さや位置を調整しながら基礎を配置し、住宅を建てることができるのです。
特殊な構造の住宅や地形・地盤的に建築が難しい場合でも、布基礎であれば建てられる可能性があります。
デメリット
布基礎のデメリットは次の通りです。
ベタ基礎に比べると耐震性が低い
布基礎はベタ基礎に比べて耐震性が低くなります。
布基礎は、建物の外周と住宅の主要な壁の下にしかコンクリートが配置されません。
そのため、地震で発生した力を分散しきれない場合があるのです。
先ほども述べた通り、東日本大震災で倒壊を免れた家は、多くがベタ基礎だったという話もあります。
立地条件にもよりますが、接地面積の広いベタ基礎のほうが、より安定感が高いのでしょう。
地震への技術力も高まっているので過度に心配する必要はありませんが、構造的にベタ基礎よりも地震への耐性が低いことは把握しておきましょう。
湿気対策が必要になる
布基礎では湿気対策が必要です。
布基礎は地面からの湿気が建物内部に入りやすい構造になっています。
そのため、湿気対策をしっかり行わないと、建物の木材部分が腐食しやすくなるのです。
例えば、湿気の多い地域では、布基礎の床下に防湿シートを敷いたり、通気口を設けたりして湿気対策を行っています。
湿気対策によって、住宅の耐久性が決まってしまいます。
建築する前に、どのような防湿対策を行うべきか、依頼先に確認しましょう。
シロアリが侵入するリスクが高まる
布基礎はシロアリ被害のリスクが高まります。
布基礎はベタ基礎と比べて隙間が多くなるので、シロアリが侵入しやすい構造です。
特に湿気が多い環境ではシロアリの活動が活発になります。
シロアリは柱や桁を食い荒らします。
主要な構造物がボロボロになると、倒壊するリスクが高まるため、シロアリが多い地域では、定期的に防蟻処理を行う必要があるでしょう。
防蟻は定期的に行う必要があるので、メンテナンスの必要があることを押さえておきましょう。
ベタ基礎と布基礎を表で徹底比較
ここまで解説してきたベタ基礎と布基礎の特徴やメリット・デメリットを、表で比較してみましょう。
それぞれの特徴を十分に把握しておかないと、建てた後に後悔してしまうこともあります。
基礎はやり直しの利かない工事なので、この表で基礎的な部分を押さえておきましょう。
特徴 | ベタ基礎 | 布基礎 |
耐震性 | 高い。建物全体を鉄筋コンクリートで支えるため、地震時の揺れを分散しやすい。 | 低い。外周と主要な壁の下のみを支えるため、地震の揺れを受けやすい。 |
コスト | 高い。使用するコンクリートと鉄筋の量が多いため、建築費用が増える。 | 低い。使用する材料が少なく、施工も簡単なため、費用が抑えられる。 |
工期 | 長い。コンクリートの量が多く、乾燥にも時間がかかるため、施工期間が延びる。 | 短い。コンクリートの量が少なく、乾燥時間も短いため、施工が迅速に行える。 |
メンテナンス期間 | 長い。堅牢な構造であるため、長期間メンテナンスが不要。 | 短い。湿気やシロアリのリスクがあるため、定期的なメンテナンスが必要。 |
地盤への適応力 | 優れている。不均等沈下を防ぎやすく、様々な地盤に適応可能。 | 地盤の影響を受けやすい。地盤の状態によっては不適切な場合もある。 |
設計の柔軟性 | 低い。傾斜地や特殊な構造の住宅では、ベタ基礎を採用できない場合がある。 | 高い。傾斜地や特殊な構造の住宅でも、配置を工夫して工事ができる。 |
ベタ基礎と布基礎は、それぞれに特徴とメリット・デメリットがあります。
ベタ基礎は耐震性やメンテナンスの面で優れており、地盤が弱い場所でも安心して使用できますが、コストと工期が高くなる点がデメリットです。
一方、布基礎はコストの低さや工期の短さが魅力ですが、耐震性やメンテナンスの必要性が課題となります。
どちらの基礎が適しているかは、地盤の状態や予算、求める住宅の性能によって異なります。
しっかりと比較検討し、最適な基礎を選んでいきましょう。
基礎選びのポイント
最後に、基礎選びのポイントについて解説します。
基礎は住宅を支える、最重要の構造物。
土地や住宅に合わない基礎を選んでしまうと、取り返しのつかないことになる場合もあるでしょう。
初めて基礎を選ぶ方に向けて、重要なポイントを3つ解説します。参考にしてください。
土地の状況を考える
第一に考えたいのが、土地の状況です。状況とは、具体的に次の通りです。
- 地盤の安定性
- 地震の発生度合い
- 湿気の多さ
- 土地の構造
地盤がゆるかったり、地震が多発する地域の場合は、ベタ基礎を選ぶと良いでしょう。
一方、安定した地盤だったり、土地の構造が特殊である場合は布基礎で対応することができます。
土地の状況は十分に調査し、専門家の意見を取り入れながら基礎の選択を行っていきましょう。
建築予算に合わせて選ぶ
基礎は建築予算に合わせて選びましょう。
基礎は建築費の9%が相場です。
建築費が1000万円の場合、90万円が基礎の施工費用ということになります。
一概には言えませんが、一般的にベタ基礎の方が費用が高いです。
もし予算が厳しい場合は、布基礎を選んで予算を抑えることもできます。
ただし、状況によっては布基礎を採用できない場合もありますので、土地を購入する前に基礎の状態を確かめておきたいところです。
修理・メンテナンスの手間を考慮する
基礎を選ぶ際は、修理やメンテナンスにかかる費用も考慮しましょう。
基礎は作って終わりではありません。
完成した瞬間から、劣化が始まっていきます。
適切にメンテナンスを行うことで、耐久性を大きく伸ばすことができるのです。
例えば、シロアリ対策の防蟻工事がメンテナンスの代表例です。
一般的に防蟻工事は5年に1度行い、2,000円/m2が相場です。
施工費用が安い布基礎ですが、長期的に見るとランニングコストがかかりますので、その点も含めてベタ基礎と比較しましょう。
【まとめ】ベタ基礎と布基礎は状況に応じて選択する
ここまでベタ基礎と布基礎の特徴やメリット・デメリットについて解説してきました。まとめると次のようになります。
- ベタ基礎はコストが高いが、耐震性などが優れている
- 布基礎は耐震性がベタ基礎に劣るが、自由度がありコストが低い
- 基礎の相場は建築費の9%
基礎は住宅を支える最重要の構造物です。
最適な基礎を選べれば、災害に強く、快適に暮らせる住宅になるでしょう。
逆に言えば、基礎選びを間違えると住宅の性能や価値が一気に落ちてしまうということです。やり直しの利かない工事なので、失敗は絶対に避けなければなりません。
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