世界的な環境問題の高まりを受け、EV(電気自動車)への注目度が高まっています。
「Electric Vehicle」の頭文字からEVと名付けられた、電気を動力源とする新しいタイプは、ガソリン車と比較し、温暖化ガスの排出量が少ない点、自然エネルギーでの稼働が可能な点がメリットとされています。
一方で、電気をエネルギー源とすることから、これまでのように「ガソリンスタンドでの給油」ではなく、電気で「充電」することが求められます。
そこで必要なのがEVコンセント(電気自動車充電用)です。
これから新築をと考えている方は、EVコンセントを設置した方が良いのか、様々な角度から解説していきます。
Contents
結論としてはEVコンセント(電気自動車充電用)は新築時がおすすめ
結論からお伝えすると、EVコンセントは新築時がおすすめです。
例え新築建築時の愛車がEVではないとしても、後々のことを考えるとEVコンセントを設置しておいた方が得です。
後付け工事は費用が高くなるし面倒
EVコンセントは後から付けることも不可能ではありませんが、新築時に最初から付けるよりも費用が高くなり、かつ面倒です。
新築時にEVコンセントを設置する場合、費用の目安は10,000~40,000円程度ですが、後から設置する場合、60,000~100,000円程度となります。
また、分電盤や配線工事、壁への穴あけなど、新築時であれば当初からそれらの工事を踏まえて建築工事が可能ですが、後からの場合、既に建設されている外構に取り付け工事を行う必要があります。
外構のデザイン次第では大きく手を加える必要が生じることから費用も高くなりますが、新築時に設置していればこのような問題は生じません。
EVコンセントが設置できない可能性も
EVコンセントを設置するためにはスペースも必要です。
そのため、あまりにも駐車場が狭い場合、設置のために大掛かりな外構工事が必要なケースもあれば、設置が難しいケースもあります。
例えば駐車場が車体サイズギリギリで作られている場合で、かつ庭も狭い場合、EVコンセントを後から設置するのは、物理的に難しいです。
「後で設置すればよい」と思っていたはずが、後から設置できなくなるリスクがあることも覚えておきましょう。
EVコンセントを考慮したデザインを採用できる
新築時にEVコンセントを導入する場合、EVコンセントを踏まえてのデザインが可能です。
後からとなると、どうしても「とりあえず設置しました」「設置できる場所に設置しました」など、デザイン性を犠牲にした設置となりかねません。
もちろんEVコンセントは充電するための物なので実用性が重要ではありますが、注文住宅のように細かい部分までこだわることができるシステムであれば、EVコンセントを含めて「納得できるデザイン」にしたいのではないでしょうか。
その点、新築時にEVコンセントを導入する場合、自分の納得できるデザインでのEVコンセントが可能です。
EVコンセントを設置するメリット
EVコンセントを新築時に設置するメリットを紹介します。
自動車業界の今後の展望
動車業界の今後の展望も、現在ガソリンカー、あるいは車を保有していない場合でも、新築時にEVコンセントの取り付け工事を行っておくことをおすすめする理由の一つです。
これまで自動車はガソリン車が一般的でした。ハイブッドカーやディーゼル車などの種類もありますが、いずれも資源エネルギーが必要です。
一方、EVは電気のみで動きます。この特徴の違いから、環境問題対策として期待されており、自動車業界ではガソリン車からEVの利用を促進する「EVシフト」と呼ばれる、動きが生まれています。
海外の自動車の売り上げを見ても電気自動車が上位を占めるようになりました。日本でも徐々にではありますが、EVの存在感が高まっています。
そのため、今後を見据えて「とりあえず」設置しておくのも手です。
EVコンセントは充電以外にも使用できる
分電盤の対応が必要ではありますが、EVコンセントはEVの充電だけではなく、「電気供給コンセント」として活用できます。
自然災害時の屋外コンセントとして、あるいは家の外での趣味のための屋外コンセントや、防犯システムのための電源など、「電気自動車の充電」以外にも多くの用途が見込めます。
そのため、新築時にEVを保有していない方が設置しても、決して無駄にはなりません。
新築時であればさほど費用がかからない
先程費用をお伝えしましたが、新築時の方が、後から設置するよりも安価に設置できます。後からとなると費用が割高になってしまいますが、新築時の費用であれば「とりあえず」設置しておいたもさほど大きな負担ではありません。
EV以外の用途でも使用できる点を踏まえると、決して「無駄な出費」ともならない点を踏まえると、新築時にとりあえず設置しておくのもよいでしょう。
EVコンセント設置時の注意点は?
EVを保有していないとしても、EVコンセントを設置するメリットがあることが分かっていただけたのではないでしょうか。
そこで実際にEVコンセントを設置するにあたっての注意点も紹介します。
EVコンセントであることを伝える
EVコンセントは分電盤を活用することで「屋外コンセント」として使用できるとお伝えしました。
しかし、一般的なコンセントではEVの充電はできません。EVを充電するためには、200Vの電圧が必要とされていますが、一般家庭用コンセントの電圧は100Vです。
そのため、「外にコンセントが欲しい」では、EVの充電ができない100Vのものを提案・設置される可能性が高いです。もしも100Vのコンセントを設置してしまった場合、EVコンセントに対応させるためには後から公示する必要があります。
当初から「EVコンセントのためのもの」だと伝えておきましょう。
切り替え可能なタイプを選択する
切り替え可能タイプなEVコンセントを設置すると、EVの充電と屋外コンセントとしての双方の役割を期待できます。
しかし、切り替えできないEVコンセントでは、EVの充電以外の用途に使用できません。結果的に、用途が絞られることで利便性が低下してしまいます。特に新築建築時はEVではなくガソリン車やハイブッドカーを所有している場合、用途の無い設備にお金を出すことになります。
コンセントの形状を確認する
一般的に、EVコンセントと家庭用コンセントは形状が異なります。分電盤で切り替えできるタイプを選んだ場合、コンセントを対応させることになりますが、どのタイプのコンセントにするのかを考えておきましょう。
EVコンセントとしての活用が多くなるようであればEVコンセントに合わせた方が無難ですが、外部コンセントとしての用途の方が多い、あるいは多く想定しているのであれば、一般家庭用コンセントと同じ形状にした方が便利です。
配線にも気を配る
EVコンセントは電気自動車の充電にも対応した200Vです。一方、家庭用コンセントは100Vです。
流れる電気の量が異なるため、配線も異なります。そのため、分電盤でEVコンセント・外部コンセントそれぞれでの使用を想定している場合、配線にも注意しましょう。
具体的には、200Vにも対応した太めの配線がおすすめです。100Vのみに対応している配線の場合、EVコンセントとして使用する200Vの電流が流れると、心許ないです。ショートしてしまうリスクもあるので、200V用の太い配線にしておきましょう。
デザイン性よりも実用性を重視する
EVコンセントではあっても、デザインを重視したい人も多いことでしょう。特に注文住宅の場合、細部に至るまで依頼者の自由です。EVコンセントを武骨に設置するのではなく、外構や家のデザインと合わせたいと考えるのもよく分かる話です。
そこで、EVコンセントをおしゃれに設置したいと考える人もいますが、隠そうとしたり、あるいは奇をてらって一般的ではない場所に設置しようとすると、機能性が損なわれる可能性があります。
そのため、EVコンセントを含め、設置にあたってはデザイン性ではなく実用性を考えましょう。デザイン性を重視し、正常な充電ができなくなってしまっては意味がありません。
DIYでEVコンセントは設置可能?
後から業者に依頼して取り付けるくらいなら、自分でDIYでと考えている人もいるかもしれません。
しかしEVコンセント(電気自動車充電用)は、DIYで設置できません。
技術的に難しいのではなく、電気工事の有資格者のみが行えるものです。有資格者であればDIYでチャレンジできますが、資格がない場合、DIYでEVコンセントを設置することはできません。
DIY趣味で、自分自身で様々なものをつくれる人でも、EVコンセントに関しては技術の問題ではなく資格の問題なのでDIYでの設置はできません。
まとめ
ここまでEVコンセント(電気自動車充電用)について、解説してきました。
EVコンセントは後付けもできますが、工事の費用や手間を考慮すると新築時の設置がおすすめです。
これから新築を予定されている方は、将来的なことを視野に入れ、電気自動車の所持に関わらずに設置を検討されてはいかがでしょうか。
お悩みの方は、お気軽にご相談ください。
専門の設計士とともにお手伝いをさせていただきます。