戸建ての家を建てる時には設計書に記載されているサイズ通りに建築が進みますが、そこで用いられている単位には、メーターモジュールと尺モジュールの2種類があることをご存知でしょうか?
さらに、メーターモジュールと尺モジュールは微妙にサイズが異なります。
そのため、これから戸建てをと考えている方は、メーターモジュールと尺モジュールの違いを把握しておく必要があります。
ここではメーターモジュールと尺モジュールの違いについてだけではなく、それぞれのメリットやデメリットなど、戸建てにおけるメーターモジュールと尺モジュールについてのトピックを解説していきます。
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メーターモジュールと尺モジュールの違い
メーターモジュールと尺モジュールの違いは1グリッドのサイズにあります。
- メーターモジュール:1m×1m
- 尺モジュール:910mm×910mm
上記のサイズがそれぞれの「1グリッド」です。
数字からも分かるように、同じ「1グリッド」ではあってもサイズが微妙に異なります。
具体的には、尺モージュールはメーターモジュールよりもおよそ1辺が1割ほど短いため、グリッド換算すると表面積が約2割小さいことになります。
そのため、同じグリッドで設計されているとしてもメーターモジュールと尺モジュールでは、戸建てのサイズが異なります。
メーターモジュールの方が広く、尺モジュールの方が狭くなります。
なぜメーターモジュールと尺モジュールがあるのか
少々紛らわしい二つのモジュールですが、なぜメーターモジュールと尺モジュールと2種類の単位があるのでしょうか。
そもそも、日本はかつて「尺」が単位でした。
「一分」「一尺」「一寸」「一間」で計測する「尺貫法」と呼ばれる単位は、古くは平安時代に定められたとされています。
その後、日本にも西洋の文化が伝わると、「メートル」と呼ばれる、それまで未知の単位も伝わるようになりました。
一時期は併用されていましたが、1958年に現在の公的な単位としての使用が禁止されたことで、我々の生活では一般的にメートル法が採用されています。
一方で、それまでの伝統から未だに尺貫法を用いている職人・工務店も多いです。
比較的新しいハウスメーカーはメーターモジュールにて家づくりを行っていますが、伝統・歴史のある業者の場合は尺モジュールにて家づくりを行っています。
結果、両者が混在してしまっています。
そのため家づくりを行う際には、依頼する業者がメーターモジュールなのか、尺モジュールなのかを確認しておく必要があります。
なぜなら、同じ家づくりでもどちらのモジュールで設計されている家なのかで、家の広さが変わります。
メーターモジュールと尺モジュールで実際に異なる点
メーターモジュール・尺モジュールで戸建てを建てた場合に異なる点は広さです。
そもそも単位が異なります。
例えば「6畳間」の場合、メーターモジュールと尺モジュールで下記の違いが生まれます。
- メーターモジュール:12m2(3m×4m)
- 尺モジュール:約9.94m2(2.73m(1.5間)×3.64m(2間))
このように、同じ「6畳間」でも、尺モジュールはメーターモジュールよりもおよそ2割ほど狭くなります。
メーターモジュールで戸建てを建てるメリット
メーターモジュールで戸建てを建てる場合のメリットを紹介します。
家が広くなる
お伝えしたように、メーターモジュールは尺モジュールよりも大きいサイズとなっているため、メーターモジュールで設計・建築された戸建ては、尺モジュールで設計・建築された戸建てよりも広くなります。
およそ2割程度の違いではあっても、家全体が2割異なるとなれば体感的には大きな違いとなります。
分かりやすい
メーターモジュールは、メートル法に基いたものです。
そのため設計書を見てもある程度のサイズ感を把握できます。
尺貫法で設計されている設計図を見ても、尺貫法に慣れている人以外は大まかなサイズの把握が難しいです。
実際に完成した戸建てを見て、思っていたよりも大きい、あるいは小さいと感じるケースもありますが、メーターモジュールであればほぼ正確に大きさを把握できるので、完成後に「思っていたものと違う」となるリスクが低いです。
メーターモジュールで戸建てを建てるデメリット
メリットもあればデメリットもあります。
ここでは具体的に、メーターモジュールで戸建てを建てる場合のデメリットも紹介します。
費用が高くなる
メーターモジュールは尺モジュールよりも大きくなります。
そのため、費用が高くなります。
単純に、広く・大きくなれば必要な資材も増えるので費用は高くなります。
マイホームの購入時、こだわるべき点は多々ありますが予算・費用もまた、大切な点です。
尺モジュールと比較して広くなる点はメリットですが、費用が高くなれば不動産ローンの借入額・返済額も変わります。
採用している業者が少ない
全体的な傾向として、メーターモジュールよりも尺モジュールを採用している業者の方が多いことから、メーターモジュールで戸建てをと思った時、選択肢が少ないです。
こだわりを持ってメーターモジュールでと考えても、業者の多くが古くからの伝統である尺モジュールにて家づくりを行っています。
特に歴史のある工務店の場合、多くが尺モジュールとなっているため、こだわりを持って工務店を選んだ場合、メーターモジュールではなく尺モジュールでの家づくりとなるため、当初の予定と異なる点が出てくる可能性があります。
尺モジュールで戸建てを建てるメリット
尺モジュールで家を建てる場合のメリットも紹介します。
対応している建材・資材が多い
尺モジュールはメーターモジュールよりも小さい点、さらには古くから伝統的に用いられてきた手法であることから、メーターモジュールよりも対応している建材・資材が多いです。
メーターモジュールの場合、対応している限られた資材の中から選択しなければなりませんが、尺モジュールは歴史が長いことから、選択肢が多いです。
注文住宅のように、自らでいろいろと選べるシステムの場合、尺モジュールの方が理想の家をつくりやすいです。
特に和室の場合、障子や襖など多くが尺モジュールを合わせて作られているものが多いため、組み合わせやすいです。
自由度が高い
メーターモジュールよりも若干小さい尺モジュールの方が、設計の自由度が高まります。
例えば狭小地のような限られた土地の場合、メーターモジュールでは設定が難しいものの、尺モジュールであれば可能なケースもあります。
このように小回りが利くことから尺モジュールの方がアレンジを利かせやすいです。
尺モジュールで戸建てを建てるデメリット
尺モジュールで家を建てる場合のデメリットも併せて紹介します。
サイズを把握しにくい
尺モジュールは尺貫法をベースにしたものです。
そのため、メートル法で暮らしている我々にとっては、「尺」と言われてもピンとこない方が多いことでしょう。
そのため、サイズをイメージ・把握しにくいです。
完成後に狭さを実感する可能性
尺モジュールはメーターモジュールよりも小さい単位です。
そのため、家づくりにおいてもメーターモジュールよりも狭くなります。
その点が顕著となるのが通路です。通路の幅はメーターモジュールの方が広くなりますが、比較するからではなく、単純にサイズ的に「狭い」と感じるケースも多いです。
また、狭いため収納スペースも小さい・少ない形にならざるを得ません。
狭い点が、結局は不便な生活を強いられることになりかねません。
階段の勾配
尺モジュールはメーターモジュールの家と比較して、階段の勾配がきつくなる傾向にあります。
サイズが小さいことから、階段を設定する際に急角度となりやすいです。
若い時は問題ないとしても、年齢と共に階段の乗り降りがきつくなる可能性があります。
メーターモジュールと尺モジュールはどちらが良いの?
一概にどちらが良いかは判断が難しいです。
なぜなら、家づくりに求めることが人それぞれ異なるからです。
そのため、メーターモジュールと尺モジュールのどちらにするかは、それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、どちらの方が自分が目指す家づくりにマッチしているのかを判断することが重要です。
例えば予算を気にせず、とにかく広い家をと考えているのであればメーターモジュールの方がマッチしていますが、メーターモジュールにはない建材・資材を採用しての家づくりを行いたい場合や尺モジュールの家づくりの方がマッチしています。
そこで、他にもメーターモジュールと尺モジュールそれぞれ、どちらが向いているのかも紹介しましょう。
メーターモジュールに向いている人
予算よりも理想を追求したい人に向いています。
メーターモジュールの方が広い家となりますが、だからこそ費用も高くなります。
家づくりにおいて、費用・予算は重要ですが、費用・予算よりも理想を追求・優先したい場合で、かつ広い家に住みたい人はメーターモジュールの方がマッチしています。
他にも二世帯住宅や親の介護を意識した家もメーターモジュールの方が向いています。
通路・幅を広く確保できることから、生活における利便性が高まるからです。
尺モジュールに向いている人
対応している資材・健在が多いので、いろんな選択肢から選んで考えたい人や、狭小地、和風の家、さらにはできれば安い費用での家づくりをと考えている人に向いています。
また、こだわりのある工務店に依頼したい場合も尺モジュールになります。
伝統的な工務店の多くが尺モジュールでの家づくりを行っているため、工務店のホームページを見て「この工務店に任せたい」と思った場合、メーターモジュールの選択肢がない場合が多いです。
この場合「向いている」というよりも、半ば強制的なものではありますが尺モジュールでの家づくりとなります。